ドレミファソラシド(純正律)
普段、私達が親しんでいる「
ドレミファソラシド
」ですが、
さかのぼるとギリシャ時代にまでいきます。
『
純正律
』と『
平均律
』という言葉は聞いたことがあると思います。
「ドレミ」が生まれ出てきたのは、まずは『純正律』からです。
純粋に音の響きから作られた音律です。
ギリシャ時代、その頃すでに、
振動数が
1:2
の関係にある2つの音は、
同時に鳴った時、ほとんど1音のように響くことが知られていた様です。
振動数が1:2ということは、
発音体が弦として、
その長さが2:1ということですね。
この2音の成す音程が、
『
オクターブ(octave)
』です。
振動数が2:3の関係にある2つの音は、
『
完全5度(Perfect 5th)
』となるのですが、
これを見つけたのが、
ギリシャの数学者、ピタゴラス(BC 6C)です。
そして、アルキタス(BC430〜360)が、
振動数比4:5で、
非常に美しい響きを得られることを見つけました。
『
長3度
』です。
これを、『
純正長3度
』と言います。
今、私達が使用している「ドレミ」は『
平均律
』ですから、
それよりはるかに綺麗な響きです。
これらの発見を組み合わせていきます。
任意の音から、上下に完全5度を成す音程
まず、任意の音(ここではC音で説明していきます。)の上下に、
「
完全5度
」の音程をとります。
上にとった『
完全5度
』は、
C の振動数を1とすると、
3/2
という振動数比が得られます。
下方の音を1オクターブ上げると、
『完全4度(Perfect 4th)』の音
下側の「完全5度」は、振動数比 2/3 ですが、
オクターブ上げる、つまり、振動数が2倍になるわけですから、
2/3 x 2 = 4/3
ですよね。
『
完全4度
』の振動数比は、
4/3
となります。
3音の各音から、『純正長3度』をとる
基になった音、完全4度上の音、完全5度上の音それぞれに対し、
「
純正長3度
」の音を作ります。
これで、
5/4、5/3、15/8
といった音が出てきます。
ここで、一旦出てきた音を整理してみましょう。
それぞれ前後する音の音程を比較してみると、
C とその次の音との間には、まだ開きがあるので、
ここの間にもう1音作ったほうが良さそうです。
上方に「完全5度」を2回とって、オクターブ下げる
オクターブの次に単純な振動数比である
「完全5度」を2回
とって、
その音をオクターブ下げます。
3/2 の2乗 x 1/2 = 9/8 となり、
9/8
という振動数比の音ができました。
音階(スケール Scale)の完成
ある任意の音から、
「オクターブ」、「完全5度」、「純正長3度」の3つの組み合わせ
で、
こうやってスケールができたんですね。
純正律(Pure Temperament)
音階を構成する各音の振動数比を決定することを『
音律
』といいましたが、
上記の方法による「音律」に基づいて、
楽器を調律し、演奏すると、
非常に美しい響き
を得られます。
この方法による音律を『
純正律
』といいます。
しかし、「純正律」では問題があります。
ドとレの振動数比が 1 : 9/8 であるのに対し、
レとミの振動数比が 9/8 : 5/4 = 1 : 10/9 となり、
同じ全音(Whole Tone)であっても、
『大全音』と『小全音』があること。
そして最大の問題点が、
『
転調ができない
』ということです。
鍵盤楽器を一度調律(チューニング)したら、
各音の高さを変えることができません。
調が変わったら、
その調に合わせてチューニングされた楽器が必要となります。
そこで、『
平均律
』という考え方が出てきました。
では、次に「平均律」です。